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ルソーの思想とは何か -人間であり、市民であること

ルソーの思想とは何か -人間であり、市民であること
  • 2012年12月刊行
  • 定価:本体4,500円+税
  • ISBN:978-4-905208-04-4
  • 出版社:リベルタス出版
  • 仕様:A5判 上製 192 頁

著者:佐藤 真之

良心論、一般意志論の解読から、倫理と政治を結ぶ思想の全体像を描き出し、ルソー研究の新しいスタンダードを提示する。

ルソー研究における最大の課題とは、『エミール』と『社会契約論』双方のテクスト、すなわちルソーの哲学的人間学と政治制度論の構想とを、一貫し た観点のもとで読解し、思想の全体を一つのまとまった体系として明示する、ということである。
近代的な個人の「独立」と、市民社会における「平等」の要請は、ときに相反する方向へとむかう。これは、ルソーの思想における「人間と市民の矛 盾」の問題として、これまで多くの解釈者たちが様々に克服を試み、挫折を繰り返してきたアポリアであり、いまなお格闘の研究史の中心にあり続け る。
従来のルソー研究の多くは、社会契約を取り結ぶことによって「人間」が「市民」になる、という解釈の図式を用いてきた。しかしながら、そのような 構造は、実際にはルソーの思想のうちには存在しない。ルソーは自身の思索の領域を倫理と政治とに分けながら、それぞれの領域において「人間であ り、かつ市民であること」を追究していたのである。
本書の研究は、こうした観点に拠りながら、ルソーの思想の理論的な深化の過程を追跡し、「良心」および「一般意志」に関する新たな読解を提示する ことによって、思想の全体を、あらためて「人間と市民の矛盾」の綜合を目指す試みとして描き出すものである。

著者略歴

佐藤 真之(さとう・まさゆき)
1980 年、横浜生まれ。
慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程修了(哲学・倫理学専攻)。
専門は近現代の倫理学、政治哲学。現在、慶應義塾大学文学部非常勤講師。

 

<主な業績>
『小松光彦、樽井正義、谷寿美編『倫理学案内―理論と課題』
慶應義塾大学出版会2006 年(分担:第Ⅰ部第7章「討議倫理学」)