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これからのウィトゲンシュタイン -刷新と応用のための14篇

これからのウィトゲンシュタイン -刷新と応用のための14篇
  • 2016年11月刊行
  • 定価:本体3,200円+税
  • ISBN:978-4-905208-05-1
  • 出版社:リベルタス出版
  • 仕様:A5判 上製 272 頁

著者:入江俊夫/大屋雄裕/菅崎香乃/田中久美子/西阪仰/野村恭史/林大悟/平田仁胤/水本正晴/吉田寛(五十音順)

編者:荒畑靖宏/山田圭一/古田徹也

21 世紀の今、ウィトゲンシュタインから何を学びうるのか? 多様な分野の研究者が結集し、最新の知見を基にあらためて問い直す!

海外ではいまもウィトゲンシュタインをめぐる議論が盛んであり、刺激的な展開を見せ続けているが、その一方で、日本では彼の哲学はしだいに埃を被 りつつある。それを一気に吹き払って新たな地平を切り拓くことを目的に、ここに14 篇の、すべて書き下ろしの論考が編まれた。
まず、日本の中堅・若手を代表するウィトゲンシュタイン研究者が結集し、海外の最新の研究動向も踏まえた新解釈を提示する。そして、教育学、社会 学、計算言語学、法学の各分野をリードしつつ、ウィトゲンシュタインにも造詣の深い論者たちが、狭義の哲学分野の外部にもひろがる彼の思考の可能 性を示す。
以上の構成を通じて本書は、英米系(分析系)と大陸系の枠を超えた哲学的見地から、そして、哲学研究の枠を超えたそれぞれの学術研究の見地から、 「21 世紀のいまわれわれがウィトゲンシュタインから何を学びうるのか」をあらためて問い直す。ウィトゲンシュタインの遺産を、観賞用の作品ではなく、アクチュアルな哲学的思考 の主題として取り戻すために。

編者略歴

荒畑靖宏(あらはた やすひろ)
1971年生まれ。フライブルク大学哲学部博士課程修了。慶應義塾大学文学部准教授。
主な著作に『世界内存在の解釈学―ハイデガー「心の哲学」と「言語哲学」』(春風社、 2009年)、 Welt – Sprache – Vernunft (Ergon、 2006)など

 

山田圭一(やまだ けいいち)
1973年生まれ。東北大学文学研究科博士課程修了。千葉大学人文社会科学研究科准教授。
主な著書に『ウィトゲンシュタイン最後の思考―確実性と偶然性の邂逅―』(勁草書房、 2009年)。主な共訳に『知覚の哲学入門』(W・フィッシュ著、 勁草書房、 2014年)

 

古田徹也(ふるた てつや) 
1979年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。新潟大学人文社会・教育科学系准教授。
主な著書に『それは私がしたことなのか―行為の哲学入門』(新曜社、 2013年)。主な訳書に『ラスト・ライティングス』(ウィトゲンシュタイン著、 講談社、 2016年)

著者略歴

入江俊夫(いりえ としお)
 1970年生まれ。千葉大学大学院社会文化科学研究科博士後期課程修了。文教大学人間科学部非常勤講師。
主な論文に「C.ダイアモンドの『道徳的思考』とエウチュプロン問題に寄せて ―ウィトゲンシュタインの『概念形成論』の射程―」(アレテイア16号,2013年)、「数学における問題と解決との関係と証明概念―『論理哲学論考』から『数学の基礎』 に至るウィトゲンシュタインの数学の哲学の展開の意味―」(『科学哲学』、2012年)

 

大谷 弘(おおたに ひろし)
 1979年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。武蔵野大学人間科学部専任講師。
主な論文に “Wittgenstein on context and philosophical pictures”(Synthese、 2016)。主な共訳に『ウィトゲンシュタインの講義 数学の基礎篇 ケンブリッジ1939年』(C.ダイアモンド編、講談社、2015年)

 

大屋雄裕(おおや たけひろ) 
1974年生まれ。東京大学法学部第二類卒業。慶應義塾大学法学部教授。
主な著書に『法解釈の言語哲学―クリプキから根元的規約主義へ』(勁草書房、 2006年)、『自由か、さもなくば幸福か?―21世紀の〈あり得 べき社会〉を問う』(筑摩書房、2014年)など

 

菅崎香乃(すがさき よしの)
1980年生まれ。筑波大学大学院人文社会科学研究科博士課程在学中。主な論文に「ウィトゲンシュタイン『哲学探究』一八五節における「われわ れ」―生徒の位置づけをめぐって」(『哲学・思想論叢』、 2013年)

 

田中久美子(たなか くみこ) 
1969年生まれ。東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。東京大学先端科学技術研究センター教授。
主な著書に『記号と再帰』(東京大学出版会、2010年、 原著Semiotics of Programming、 Cambridge University Press、 2010)。主な共訳に『第三回一般言語学講義: エミール・コンスタンタンのノート』(東京大学出版会、 2007年)

 

西阪 仰(にしざか あおぐ) 
1957年生まれ。早稲田大学文学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。千葉大学文学部教授。
主な著作に『分散する身体』(勁草書房,2008)、『心と行為』(岩波書店、2001)、『相互行為分析という視点』(金子書房,1997)な ど。主な訳書に『会話分析基本論集』(H・サックス、E・A・シェグロフ、G・ジェファソン著、世界思想社,2010)、『心の社会的構成』 (J・クルター著、新曜社,1998)など

 

野村恭史(のむら やすし) 
1968年生まれ。北海道大学大学院文学研究科博士後期課程修了。北海道大学文学部助教。
主な著書に『ウィトゲンシュタインにおける言語・論理・世界―『論考』の生成と崩壊』(ナカニシヤ出版、2006年)、主な共著に『哲学の歴史 〈11〉論理・数学・言語』(中央公論新社、2007年)

 

林 大悟(はやし だいご) 
1973年生まれ。九州大学大学院人文科学府博士課程単位取得退学。玉川大学文学部准教授。
主な著書(共著)に『エシックス・センス―倫理学の目を開け―』(ナカニシヤ出版,2013年)。主な論文に「要素命題と論理空間―移行期ウィト ゲンシュタインの思想について」(『哲学年報』、2007年)など

 

平田仁胤(ひらた よしつぐ) 
1979年生まれ。広島大学大学院教育学研究科教育人間科学専攻博士課程後期修了。岡山大学大学院教育学研究科講師。主な著作に『ウィトゲンシュ タインと教育―言語ゲームにおける生成と変容のダイナミズム―』(大学教育出版、2013年)。
主な論文に「言語ゲームにおける学習者の主体性に関する考察―ウィトゲンシュタインの志向性概念の検討を通じて―」(『教育哲学研究』第102 号、2010年)

 

水本正晴(みずもと まさはる)
1968年生まれ。一橋大学社会学研究科博士課程修了。北陸先端科学技術大学院大学知識科学系准教授。
主な主著にA Theory of Knowledge and Belief Change ~ Formal and Experimental Perspectives (Hokkaido University Press、 2011)、 『ウィトゲンシュタインvs. チューリング~計算、AI、ロボットの哲学』(勁草書房、2012年)

 

吉田 寛(よしだひろし)
1972年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程修了。静岡大学情報学部教授。
主な著作に『「思い出」をつなぐネットワーク―日本社会情報学会・災害情報支援チームの挑戦』(昭和堂,2014)、『ウィトゲンシュタインの 「はしご」―『論考』における「像の理論」と「生の問題」 』(ナカニシヤ出版,2009)